お宅訪問Feelings Realized
過去17軒の家の成功と失敗点を全て生かした終の住まい
お父様が転勤族、加えてご自身も建築や引っ越しが好きで、これまで17軒もの家に住んできたHさん。18軒目は羽根木の森が気に入り、コーポラティブハウスに参加します。過去の家での成功と失敗を生かし、家族の暮らしに合わせたオーダーメイドの住まいを実現しました。
「あらゆる形態の家から得た
ノウハウをやり尽くしました」
Hさんのご主人様は、転勤族だったご両親と住んでいた頃に9回、大学進学以降自分の意志で8回もの引っ越しを経験。一戸建て住宅はもちろんのこと、寮生活、ルームシェア、ワンルーム、中古マンションのフルリフォーム、賃貸および分譲マンションと、ほとんどあらゆる種類の住居に住んできたといいます。
「祖父が大工で、現場を見るのが面白かった」(ご主人様)体験からか、ご自身も建築好きになり、結婚して中古マンションをフルリフォームした頃から、間仕切りや照明のアイディアを出すなど、本格的に自分の家を住みやすくアレンジするようになったそうです。
その後お子さんが生まれ、もう少し都心近くに広い家を持ちたいと、分譲のデザイナーズマンションに引っ越し。ここは新築のタウンハウスで、内部を多少アレンジできたそうですが、デザインされ過ぎていて、収納スペースも少なく、いざ生活し始めるとモノが外に出てしまうなど、「タテマエの家だったので、次にチャンスがあるならホンネとタテマエを両立させた家をつくりたいと思いました」(ご主人様)
そして、ご長男の小学校の都合で次は取り急ぎ世田谷区代田の賃貸マンションに引っ越し。しかしそこは、約80㎡の今のコーポラティブハウスより広かったわりに、以前の家で使っていたモノが微妙に収まらず、1部屋が完全にクロゼット状態になるなど使いにくく、早く引っ越しをしたかったのだそうです。
羽根木の森との出会いは、そのマンション暮らしの時でした。「羽根木の森の一角にあるパン屋さんに来て、こんな森があるんだ、とびっくりして。何だかここだけマイナスイオンがあるような感じで」(奥様)
そこで羽根木の森をネットで検索すると、偶然コプラスがコーポラティブハウスを募集していたため、話を聞いてみることにしたのだとか。
「あらためて場所を見に来たら、住まいのイメージが湧いて。せっかくこのシチュエーションを気に入って決めたのだから、思い切って道路から離れた、森を感じられる一番奥の最上階しかないと思い申し込みました」(ご主人様)
こうして羽根木の森で、Hさんの生涯で18軒目の家づくりが始まったのです。
平面だと限られたスペースも
立体で考えるとより有効に使える
コーポラティブハウスに住むのは初めてのHさん。「正直、ここまで自由につくれるとは思わなかった。制約があるのは全体のスペースと予算だけ(笑)」というご主人様は、設計士との打合せにあたり、これまでの17軒で得たノウハウを駆使してアイデアを出したそうです。
それゆえに、取材時には入居して1年半が経過していましたが、「ああすればよかった」という後悔はほぼないとのことでした。
まずキッチンは、ダイニング側からは手元が見えない高さの収納をシステムキッチンに家具工事で取付けています。以前の家はアイランドキッチンで、何も置かないときれいでしたが、普段、生活するうえではモノがごちゃごちゃと見えてしまうという経験から得たアイデアでした。
ダイニング側から使える収納は、蓋を開ければオーブントースターや炊飯器がそのまま使えるよう、中にコードを通す穴やコンセントを設けました。「僕の過去の失敗の一つは、配線の微妙な調整。今回は棚の中のコンセント位置や配線用のホールサイズにも気を配りました。ちなみに、今回設計した家の中では、延長コードを1ヵ所も使っていません」(ご主人様)
また、この収納にはダイニングテーブルがスッキリ片付くよう、家族各自一つずつ、何でも入れられる大きめの引出しも設けています。
「スペースは平面上は制限されていても、3次元で考えるとまだ余裕があることに気づきます。たとえば一つの収納を、上は部屋のこちら側から、下はあちら側から使うとか、スペースを全て有効に使うという発想に立ちました」とご主人様がいう通り、このお宅には大きな工夫から小さな工夫までがさまざまな場所に施されています。
設計の小さな工夫が
暮らしを美しく便利に
子供室は共用廊下側なので、目線や風通しが細かくコントロールできる様、4分割の窓を設けています。また、転倒が心配なので天井に突っ張るタイプの本棚を入れたかったため、模様替えも考慮して、天井に補強を入れています。こうした補強は後からだとなかなかやりにくいため、あらかじめこうした工事ができる点が、コーポラティブハウスのよさだとご主人様は言います。
また、洗面室にも家族それぞれ専用の棚を設置。棚内にコンセントも設けてあるため、電動歯ブラシやシェーバーも充電しながら収納できます。
「こうした、家族に合わせた細かい設計の工夫が、実際生活する上での満足感や暮らしやすさに意外と大きく影響してくるんじゃないでしょうか。この家は過去の失敗から学んだ点を生かして、センチ単位、ミリ単位で考え尽くしていますから、極めて満足感が高いですね」(ご主人様)
そして、設計で最優先したのはもちろん、羽根木の森の景色を最大限に取り入れること。リビングダイニングを全面窓にして、しかも結露や熱、騒音を防止するために、複層の耐熱強化ガラスを採用。
「この窓は家の魅力のポイントとなりましたが、値段もポイントでした(笑)」とご主人様が言う通り、搬入費の見積りも相当高額だったのだとか。そこでご主人様は、既に建てる前から知り合いになった同じフロアの住人、Nさんと相談。結果、Nさんと同じ日にサッシを搬入し、費用を軽減してもらえることになったのだそうです。こうしたことができるのも、コーポラティブハウスのメリットでしょう。
また、このリビングは、東側の一角を間仕切りして個室として使えるように、収納式の引戸が備えられています。遠方に住むご夫妻それぞれのご両親が泊りに来る際に重宝しているそうです。
費用についてご主人様に聞いてみると、「正直、自由設計をつくり込んでプラスしていくと、通常の分譲より割高なのかなとは思います。設備や仕様を、標準設計の仕様をオプションの仕様に替えた場合、やめてマイナスになる分が意外に少なくて、プラスにした分が意外に高い。標準仕様は大量発注品で、自由設計は個別発注だからでしょうか。でもトータルでは、これまでの家に比べて満足度は極めて高いですね。だから、コプラスさんと共存共栄というところかな(笑)」
コスト意識はシビアでありつつも、住み心地の満足度の高さを話してくれました。
また、コミュニティについては次のような意見をもらいました。
「一言でいうと、ほどよい距離感だと思います。建てる前から顔を合わせて、飲む機会があると、お互い和みますよね。屋上にコプラスさんが丸太の椅子を置いてくれたので、ビールを持って上がって行くと、先客がいて一緒に飲んだり。前に中古マンションに住んでいた時には戸数が多かったので、すれ違ってもお互い住人なのか不審者なのか(笑)わからなくて、誰なのかなぁっていう感じでしたから、全然違いますね」
せっかくのコーポラティブハウスだから早い段階からの参加がベスト
住民同士の交流もさることながら、コーポラティブハウスのよさとして、ゼネコンさんとのお付き合いも独特のいい面があるとご主人様はいいます。
「1年点検では施工してくれた顔見知りの職人さんが来て直してくれて、そういうお付き合いもコーポラティブハウスという仕組みならではのいい面だと思います」
また、コーポラティブハウスを検討中の方には次のようなアドバイスも。
「せっかくコーポラティブハウスに参加するのであれば、できれば早い段階から参加し、やりたいことに挑戦した方がいいと思います。エネルギーもお金も使うかもしれないけど、家族の思うところを反映させた方がいいんじゃないかと。僕の場合、一戸建ての注文住宅よりも全体のスペースに制約がある分、細かいところまで考えられたのかもしれません。これがダメならあれ、と知恵をしぼりまくってアイディアを出して、面白かったですね。設計士の方は本当によく付き合ってくれたと心から感謝しています」
18軒目で大満足な家をつくったHさん。今度こそ、終の棲家になりそうです。
PLAN
エリア:東京都世田谷区羽根木
専有面積:80.04㎡
家族構成:ご夫婦+子ども1人
入居:2013年2月
<コーディネイト>
株式会社コプラス
<全体設計>
株式会社コプラス
<住戸設計>
株式会社アルコデザインスタジオ
<施工>
株式会社佐藤秀
このお宅のコプラス コ―ディネイタ―・全体設計者