お宅訪問Feelings Realized
居場所がある住まい
お仕事の都合で海外生活の長かったHさん。環境や風土の異なる国、街での暮らしは心地よい住まいのカタチを見つけ出す貴重な経験だったそう。 ご夫婦2人の想いが詰まった住まいを訪ねました。
「仕事の都合で海外生活が長く海外で部屋を借りて住む経験を何度かしました。12~13年前に帰国して、自分たちに合う住まいを見つけるため、時間を掛けて色々な住宅を見てまわりました。
その時に強く感じたのは『日本の分譲住宅の決められた間取りは合わない』ということ。
夫婦2人で住むには分譲マンションは部屋数が多く、壁を取り払いたくても間取りの変更は出来ない。区切られていない広い空間を持とうと思うと、ものすごく高い物件を買わなければならない。
料理好きで食器が多いのでキッチンの構成にはこだわりたい、他の収納スペースも持っているものがすべてきれいに収まるようにしたい。見れば見るほど一つ一つのものに、もっと自分たちの使いやすいサイズや形があると実感しました。
自由設計で自分たちらしい暮らしの出来る住まいを創りたい。そんな気持ちになりました。理想の住まいを創るには時間と手間が掛かるだろうとは思っていました。 でも掛けただけの意味があるだろうと。今は結果的にその通りだったなと思います。」
「とにかく小さな部屋はいらない。大きなリビングがほしいと思っていました。
以前住んでいた経験から風通しのいいことも絶対条件。だから窓の位置は工夫しました。 クーラーをつける程でもないけれど締め切るにはちょっとという時には、小窓を開けているといい風が抜けていきます。
南向きにもこだわりました。夏は部屋の奥まで日が入らず、冬は日あたりがいいという合理性に魅力を感じていたので」
「それから収納計画も住まいのテーマでした。
例えば、設計の中で他の部位との取り合いで出来たちょっとしたくぼみも文庫本用の収納本棚にして、普通なら壁で塞いでしまうような排水管の横の奥まったスペースも長モノ用の収納場所として有効活用しました。
寝室のクローゼットは、中に入れる市販のワードローブのサイズを前提に設計し、入居後に人感センサー付きの照明を取り付けて、さらに使いやすくしました。
寝室から洗面所に抜ける扉をつけて、水回りを介して玄関側へ抜けられる回遊型プランにしたことも、家事のしやすい、使い勝手のよい間取りとなりました」
「元々コミュニティのある小さなマンションに住みたかったんです。入居者同士の顔が見えるのは安心感がありますから。
震災があったこともあり、改めてコミュニティがあるというのはすごくいいと感じています。やっぱり1年以上の時間を掛けて総会などで会って、いいとか悪いとか色んな話をしていると仲間意識が強くなるんですね。
これまで建設中に色々やってきて、その上で一緒に住んでいるという感覚があって、いいなと感じています。顔を合わせると、みんなで集まってなにかやろうという話に自然となりますよ。」
「自由設計で色々な判断をする上で、自分たちは建築に詳しい人間が家族にいたけれども、そうでない人も多いので性能等については、第三者的な意見を聞ける仕組みがあっても良いのかなとは思いました。 入居してしまう前に、お互いの部屋を見られる機会があれば良かったとも思います。入居してしまうと片付けが終わっていなかったり、とそれぞれの事情が出来てしまいますからね。」
(過去のコーポラティブハウスでは、竣工引渡会の後にそれぞれのお部屋見学会、といった流れを提案する事もありましたが、MEJIROHOUSEは自由設計の方と標準プランのアレンジの方とが混在していましたので悩んだ末、見送りました。)
「今年の夏はどこかに行くより家に居たほうが良いと思い、旅行には行きませんでした。 心地よい『居場所がある』そんな想いがあります。自分の家なのだから当たり前なのでしょうけれど」
そう話すHさんの笑顔がとても印象的でした。