マンションで地震に備える!知っておきたい防災の考え方やチェック
世界有数の地震大国・日本。いつどこで巨大地震が発生してもおかしくないだけに、家選びの際にも防災対策は気になるもの。本記事ではマンションに特有の防災事情や日ごろからできる防災、備蓄品などのチェックリストや管理組合の取り組みなどをまとめました。最後には、コーポラティブハウスにおいて形成されるコミュニティが災害時にどう役立つかまで、詳しく解説します。
もくじ
災害時の基本的な考え方、自助・共助・公助
災害の被害を軽減するには「自助・共助・公助」の考え方が不可欠です。
「自助」は一人ひとりが自ら取り組むこと、「共助」は地域や身近にいる人同士が一緒に取り組むこと、「公助」は国や地方公共団体などが取り組むこと、を指します。
災害発生時は、ひとりひとりが無事でなければ、地域や身近にいる人同士で助け合う「共助」は成り立ちません。まずは自分の安全を確保することを考えましょう。
マンションで地震発生時にするべきことは?
揺れを感じたり、緊急地震速報が聞こえたりしたときは、何はともあれ身の安全確保が最優先です。
地震発生直後の安全確保
【室内での安全確保のポイント】
・最優先で命を守る(廊下、玄関などモノが落ちてこない・飛び出てこない、家具、家電、照明器具が倒れてこないようなスペースに移動)
・床にガラスや陶器の割れ物が飛散していたら、厚底のスリッパや靴を履く
・揺れが収まってから、出口を確保し、火元を確認する
【マンション内での安全確保のポイント】
・エレベーターは使用せず、非常階段を利用する
・エレベーターの中で揺れを感じたら、すべての階の行先ボタンを押し、止まった階で降りる
閉じ込められたらインターホンで連絡する
地震発生直後の避難時
避難時には以下のようなことに気をつけましょう。
【避難時のポイント】
・ラジオやテレビを活用し、行政からの正しい情報をもとに避難の判断をする
・避難をする際は、ブレーカーを落としたり、火元を確認したり、火事の原因をつくらないようにする
【マンション内での避難のポイント】
・マンションのべランダやバルコニーに設置されている、「隔て板」(いざというときに蹴破って移動できる)や「避難ハッチ」(下階避難用のはしご収納されている)を使う
地震の備え1 在宅避難に必要な備蓄品
2011年3月に発生した東日本大震災では、被災者を支援すべき行政自体が被災して機能しなくなり、「公助の限界」が深刻な問題になりました。以降、全国の自治体は、自宅にとどまる在宅避難も選下択肢のひとつと呼びかけています。
そもそも避難所は、家を失った人や二次災害の恐れがある人が身を寄せる場所。慣れない環境下でのストレスを避ける意味でも、家での生活ができるなら在宅避難がのぞましいでしょう。
まして、耐震性に優れ、たくさんの人が暮らすマンションなら、在宅避難での自助や住人同士の共助はしやすい環境だといえます。
備蓄品チェックリスト
では、まず「自助」のために備えるべきモノを確認してみましょう。大規模災害発生時には「最低3日分、できれば1週間分」の備蓄が望ましいとされています。日頃から、食料品や生活必需品を少し多めに購入しておく「日常備蓄」の方法も取り入れましょう。
【食料品】
項目 | チェック | 詳細 |
飲料水 | 飲料水、調理用など | |
主食 | レトルトご飯、麺など | |
主菜 | レトルト食品など | |
缶詰 | 果物など | |
野菜ジュース | ||
常温食品 | かまぼこ、チーズなど | |
菓子類 | チョコレートなど | |
栄養補助食品 | ||
調味料 | しょうゆ、塩など |
【生活用品】
項目 | チェック | 項目 | チェック |
生活用水 | ライター | ||
常備薬 | ゴミ袋、ポリ袋 | ||
救急箱 | 簡易トイレ | ||
ティッシュペーパー | 充電式ラジオ | ||
トイレットペーパー | 予備バッテリー | ||
ウェットティッシュ | ラテックス手袋 | ||
生理用品 | 懐中電灯 | ||
使い捨てカイロ | 乾電池 |
自分で準備するモノに加えて、管理組合が防災備蓄倉庫に備えている非常用防災グッズを利用できるマンションも少なくありません。何が準備されていて、どのような状況で配布され、使用できるのか、管理会社・管理組合に問い合わせてみるのが良いでしょう。マンションを購入する際には、中古マンションなら売主・仲介会社に、新築マンションなら販売会社の担当者に聞けば、そのマンションの防災備蓄についての情報が得られます。
地震の備え2 非常用持ち出し品
非常用持出品チェックリスト
項目 | チェック | 項目 | チェック |
懐中電灯 | 携帯ラジオ | ||
ヘルメット | 防災頭巾 | ||
軍手 | 毛布 | ||
電池 | ライター | ||
ろうそく | 水 | ||
食品 | インスタント食品 | ||
缶切りやナイフ | 衣類 | ||
哺乳瓶 | 現金 | ||
救急箱 | 預金通帳 | ||
印鑑 |
地震の備え3 減災、地震保険
自分でできる室内減災
できるだけ快適に在宅避難を行うのはもちろん、室内の損傷、ケガのリスクを減らすためには、家具・家電などの転倒・落下防止も重要。以下の項目を事前に対応しておくと安心です。
【室内減災のポイント】
・タンスや棚はL型金具などで壁の桟や柱に固定
・引き出しや観音開きの扉にはストッパーなどを取り付け、中身が飛び出さないようにする
・室内の扉がガラスの場合は、ガラス飛散防止フィルムを貼っておく
なお、地方自治体によっては家具転倒防止器具の取り付けを無料で実施していたり、費用補助を受けられたりする場合もあります。ただし賃貸マンションでは家具の転倒防止対策の際、固定方法などが制約されることもあるので、管理会社等へ確認の上、対応しましょう。
災害時におけるコミュニケーションという備え
ここまでは災害対策のハード面における備えを説明していきましたが、実は、家族間や職場や近隣の方々と事前に防災対策を話し合っておくというソフト面での備えも重要です。例えば、安否確認の方法や集合場所、避難場所や避難経路など、話し合うことで防災意識が高まり、災害から身を守ることにもつながります。
マンション全体の備えを確認しよう
いざ災害が起こったら、管理組合等や自主防災組織をはじめとしたマンション全体で協力して対応することが大事です。以下のチェックリストを確認してみましょう。
【チェックリスト】
▢ ポスターなどで防災の呼びかけが十分に行われている
▢ 隣近所の人と、日頃から顔の見える付き合いができている
▢ いざというときの災害対応用のスペースを決めている
▢ 管理組合等においても備蓄が十分にある
▢ 消火器・発電機・リヤカーなどの資器材が揃っている
▢ エレベーター停止に備え、防災倉庫は数階ごとに設置してある
▢ エレベーターに安全装置が設置してある
▢ 防災マニュアルを作成し、居住者が共有している
▢ 防災訓練を定期的に実施している
▢ 自主防災組織を結成している
▢ 居住者名簿、要配慮者名簿を整備している
参考:『マンション防災』
マンションの防災意識のカギは管理組合
災害時には近隣の住民同士の協力が必要です。日頃からあいさつを交わすことで、災害時にもコミュニケーションがとりやすくなったり、高齢者や障がい者、妊婦などの要配慮者を把握したりすることにも役立ちます。
隣戸にだれが住んでいるのかよくわからない、という状況もマンションでは多くある事例ですが、まずは顔見知りになることから始めてみましょう。
マンションによっては管理組合主体で住民全体の防災意識を向上させるようなプログラムを外部の専門業者と共に行っているケースも。防災訓練に加えてこのように住民同士が顔を合わせる機会が増えることでマンション内の「共助」もしやすくなりそうです。
コーポラティブハウスのコミュニティが役立つかも
入居希望者が集まって建設組合を結成し、新築マンションをつくるコーポラティブハウスという仕組みでは、約2年間の事業プロセスを通して住民同士が顔見知りになります。
通常のマンションでは顔見知りになること自体がまずハードルのひとつになりますが、コーポラティブハウスの場合は顔見知りの状態で入居がスタート。
時間をかけてマンションをつくるため、自分たちの建物であるという当事者意識も醸成され、管理や防災に関しても関心が高い入居者が多くなります。
コーポラティブハウスのコミュニティ形成は、事業の結果の副産物的な要素ではありますが、マンション防災においては、コーポラティブハウスのコミュニティが「共助」の一助となりそうです。
執筆者:株式会社コプラス コーポラティブ事業部 大澤(宅地建物取引士)
渋谷区にあるまちづくりが得意な不動産コンサルティング会社でコーポラティブハウスの企画運営を担当しています。同時に家づくりに関する知識をお届けするデジタルコラム・「CO+コラム」も運営中。
◆コーポラティブハウス特設サイト https://cooperativehouse.jp/
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この記事を書いた人
株式会社コプラス