抵当権抹消手続きを自分で行う場合の流れや必要書類について解説!
「抵当権(ていとうけん)」とは抵当権とは、住宅の土地や建物を担保とする権利のこと。何となく理解はしていても、所有している不動産に抵当権が残っている場合、当該不動産を売却できない等のリスクがあることはご存知でしょうか。この記事では、不動産取引を行う上で役立つ抵当権抹消のポイントなどについてご紹介。住宅ローンを完済する際に、自分自身で抵当権抹消手続きをやってみようと考えている人にもおすすめです。
もくじ
抵当権とは
抵当権とは、金融機関が設定できる住宅の土地や建物を担保とする権利のこと。住宅ローン等を返済できなくなった時に損害を補償するために抵当権を設定された不動産が差し押さえの対象となります。
抵当権抹消が必要なケース
抵当権抹消が必要なケースについて4つの具体例を挙げて解説します。
住宅ローンを完済する
住宅ローンの返済が終わった際や、繰り上げ返済をした際には抵当権の抹消が必要です。
不動産を売却
住宅ローンの残債がある(抵当権が設定されている)不動産を売却する際には、抵当権の抹消が必要です。不動産を売却する場合は、買主との間での売買契約の後、引渡し日を決定します。
引渡しとは、「決済日」とも呼ばれ、売買代金の支払いと所有権移転を同時に行います。住宅ローンの残債がある場合は、この日に買主から売買代金を受け取り、一括で残債を返済、抵当権を抹消し、買主に所有権移転をします。
ほとんどの場合、売却活動を依頼した不動産会社が登記事項証明書(謄本)にて抵当権の有無を確認してくれますが、場合によってはローンの残債や残高証明書の提出を求められるので、自分でも認識しておきましょう。
新しく融資を受ける
新たにリフォームなどの融資を受ける時にも抵当権の抹消が必要になる場合があります。
担保となる不動産に抵当権が付いている場合、仮に住宅ローンの完済後であっても審査が通りづらくなるからです。
ローン審査の時に、抹消権が付いたままになっていることが発覚すると、手続き忘れであることを証明するのに手間や時間が余計にかかってしまうケースも。新規の融資を受ける時も抵当権の有無の確認が欠かせません。抵当権が付いているかどうかは、登記事項証明書(謄本)で確認することができます。
相続が発生する
相続が発生する場合にも、抵当権を抹消しておく必要があります。
抵当権が設定されていると売却する際に手間がかかったり、新たな融資が受けづらくなったり、相続した人の負担が重くなるからです。
なお、抵当権抹消の申請者が複数人いるなどの場合は、全員で手続きを進めなければなりません。
不動産を相続する時には抵当権の有無を確認することが重要です。抵当権が付いているかどうかは、登記事項証明書(謄本)で確認することができるので、気になる方はこちらの記事をご確認ください。
抵当権抹消手続きは自分でするか司法書士に依頼するか
抵当権抹消手続きは、住宅ローンを完済したタイミングで行うことが一般的で、その場合は自分で手続きを進めることができます。
一見難しそうでも、実は必要書類に必要事項を記入して、申請するだけで、手続きにかかる期間は1日〜10日程度。それほど時間がかかるわけではありません。
しかし、残債がある不動産を売却するケースでは、司法書士による手続きが基本となる場合もあります。次に、抵当権抹消を自身で行うことができると司法書士への依頼が必要なケースについて解説します。
自分で抹消手続きする場合
住宅ローンを完済した後の抵当権抹消であれば、自分で手続きを進めることが可能。
必要な書類を集めて記入し、抵当権を抹消したい不動産を管轄する法務局に提出します。住宅ローンの完済と抵当権抹消手続きはセット、できるだけ早いタイミングで抹消手続きを済ませるようにしましょう。
司法書士に依頼して手続きする場合
抵当権の設定された不動産を売却し、その代金で残債を一括返済するなどの場合は自分では抹消手続きを進めることができないため、司法書士に依頼するケースに該当します。
理由としては、売買取引における当該不動産の抵当権抹消は取引を確実に成立させるためです。
その場合は、金融機関と司法書士との間で必要書類をやり取りしてくれます。ただし、司法書士への報酬は必要になります。費用については後程解説します。
抵当権抹消手続きの流れと必要書類
①金融機関から書類を受け取る
- 弁済証書
借入金が完済されたことを証明する書類 - 登記済証または登記識別情報
抵当権を設定した時、抵当権者に交付される書類 - 登記事項証明書
借入先の金融機関の登記事項証明です。発行から3ヶ月以内のものが必要。 - 委任状
債権者である金融機関が、抵当権抹消に関する手続きを委任するものです。抵当権抹消の際には債権者・債務者双方の申請が必要なため、委任状が必要となります。
②提出書類の準備
上述の弁済証書、登記済証または登記識別情報、登記事項証明書、委任状及び、登記申請書を準備します。
③抵当権抹消登記申請書類の作成
登記申請書のひな形は法務局での受け取りもしくは法務局のホームページからダウンロードすることが可能です。法務局ホームページ「不動産登記の申請書様式について」をご覧いただき、「17)根抵当権抹消登記申請書」を参照してください。法務局ホームページ「不動産登記の申請書様式について」はこちら
登記申請書は、管轄する法務局によって記入方法が異なります。
記入内容に相違があった場合はやり直しを求められることもありますので、事前に相談してポイントを確認しておくようにしましょう。
以下は登記申請書の記載例(一部)です。全体および詳細を確認したい場合は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。
④法務局へ書類を提出
上記書類の準備が完了したら、法務局へ提出しましょう。提出は窓口でも郵送でもOKですが、窓口で提出するとその場で書類の不備等を指摘してもらえるので安心です。
送付先は不動産を管轄する法務局ですので、注意してください。また、押印する印鑑は認印で差し支えありません。
⑤申請の完了
以上で手続きは完了です。
書類の審査を経て登記が完了するまでの期間は法務局によってばらつきがあります。しかし、特に書類の不備などがなければ、約1日〜10日程度で完了となります。
抵当権抹消手続きの費用
抵当権抹消手続きにかかる費用・費目は以下の通りです。
登録免許税
土地・建物それぞれ1件・1筆ごとに1,000円です。なお、20件を超える場合は、一律20,000円となります。マンションなどの場合は敷地が2筆にまたがっている場合などもあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
雑費
法務局への交通費もしくは郵送代、登記簿謄本の確認費用などが必要になります。
登記事項証明書
オンライン請求での郵送受け取りは500円(平日21時まで請求が可能)、最寄りの登記所などを利用すると480円で受領可能です。
なお、司法書士を利用する場合は、上記合計額に概ね15,000〜20,000円(税別)の司法書士報酬が必要になります。この金額は、あくまで通常の抵当権抹消の場合です。
相続による不動産名義の変更などを組み合わせると金額は上がるのでご注意ください。
抵当権抹消をしないことのデメリット
抹消登記が必要になった時に手間がかかる
不動産の売却や新しく融資の審査を受ける時に手間がかかります。抵当権が設定されたままだと、住宅ローン等の借入金が完済されているかどうか、金融機関から見て判断できないためです。
金融機関の審査に対して、抹消手続き忘れであることを証明するのに手間と時間を取られてしまうことにもなりかねません。手間を少しでも軽減するためにも抵当権の抹消は事前に済ませておくようにしましょう。
関連書類の紛失時の手間がかかる
借入金の完済時に抵当権抹消に必要な書類が金融機関から送られてくることはすでにお伝えした通りですが、それら書類の有効期限は発行後3ヶ月です。また、いつまでも手続きを行わないと資料を紛失するという可能性も高まります。有効期限切れや紛失となれば、書類の再発行が必要です。余計な手間や費用がかかるので注意しましょう。
まとめ
ここまで、抵当権の抹消手続きについて自分で行う場合の流れや必要書類について紹介しました。
抵当権の抹消自体は、自分で行うことも可能ですが、場合によっては司法書士への依頼が必要になるケースもあります。抹消登記のための時間を捻出できない、相続などで手続きにイレギュラーが発生して手間取りそうといった場合には、概ね15,000〜20,000円程度の費用をかけて司法書士に任せるというのも一つの方法です。
身近にお願いできる司法書士がいない場合は、金融機関や不動産会社に相談すれば紹介してもらうことができます。もちろんコプラスでも司法書士を紹介することが可能です。まずは一度ご相談くださいね。
執筆者:株式会社コプラス
渋谷区にあるまちづくりが得意な不動産コンサルティング会社。コーポラティブハウスの企画をメイン業務としながら、家づくりに関する知識をお届けするデジタルコラム・「CO+コラム」も運営しています。
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この記事を書いた人
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