コーポラティブハウス売却の流れと注意点を詳しく解説
マンションを売却するなら、なるべく高値で売りたいもの。しかしコーポラティブハウスの場合、次の買主に自由設計をした専有部やコミュニティなどの特性について理解してもらうことも重要です。本記事ではマンション売却の基礎と合わせて、コーポラティブハウス売却時に気をつけたい注意点も合わせて解説します。
もくじ
マンション売却の流れ
マンションを売却する際の流れは以下の通りになります。
全部で8ステップありますが、簡略化すると売却前・売却中・売却後の三段階に分けられます。それぞれの流れを下記で詳しく解説しましょう。
Step.1~Step.3|査定~媒介契約
自分でマンションの売却価格を調べる場合は、国土交通省の「土地総合情報システム」や国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営している「レインズマーケットインフォメーション」で過去に行われた不動産取引事例を見ることができます。
最も一般的なのは、不動産会社の査定です。
不動産会社の査定は、物件に対しての採点や周辺取引事例の比較を行い、地価や価格がどれくらい上昇しているかを加味して価格を算出します。そのため、不動産会社に査定を依頼するのがおすすめ。
ここでの注意点は、複数社から査定書をもらうようにすること。
売主からの売却活動依頼を獲得するため、査定金額は少し高めに出している不動産会社が多いので、査定価格だけでなく、売却までのサポート内容を比較して、不動産会社を検討しましょう。
売却活動を任せたい不動産会社を見つけたら媒介契約を結びます。
媒介契約とはマンションを売却する手伝い(仲介)を依頼する契約のこと。
媒介契約を締結したら不動産会社は本格的に売却活動を行います。
契約期間は媒介契約の種類によりますが、一般的には3ヶ月程度。売却活動がそれ以上続くようであれば、契約期間3か月ごとに更新します。
媒介契約の種類については後述で解説します。
Step.4~Step.6|売出~売買契約
媒介契約後、いよいよマンションの売り出しとなれば、内覧がスタートします。
内覧とは買主候補がマンションの家を見に来ることで、リビングはもちろん浴室やバルコニー、クローゼットの中なども見て、部屋の様子や状態などを確認します。
売主が既に新居に引っ越している場合は、媒介契約を結んでいる不動産会社に鍵を預けて内覧対応を任せますが、居住中に売却活動を行う場合は、立ち会いが必要となるでしょう。
マンションを購入したいという買主が現れたら、価格の合意形成の後、引渡時期を確認し、売買契約を結びます。
売買契約を結ぶ際には、売主と買主が同じ内容の売買契約書2部に記名押印し、重要事項説明書や付帯設備表、物件状況報告書などの書類を引き渡します。
契約行為には身分証や印鑑登録証明書などを持参する必要があるため、不動産会社に確認しするようにしましょう。
Step.7~Step.8|引渡~確定申告
売買契約締結からおよそ2~3か月後にに引き渡しを行います。
引き渡しの際には買主に家の鍵を渡すほか、売却物件のローン返済手続きや抵当権抹消手続きを行います。
当日は売主・買主・双方の不動産会社、金融機関担当者などが売主買主のどちらかが利用する金融機関窓口などに会し、各手続きを行うことに。司法書士が当日の17時ごろまでにに法務局にて名義変更申請を行うため、引渡しは平日の日中に行われることが多いでしょう。
なお、不動産を売却したことによって生じた所得を譲渡所得といい、譲渡所得に対しては、他の所得と分離して所得税と住民税が課税されます。譲渡所得がプラスになった場合は家を売却した年の翌年2月16日~3月15日までの間に確定申告をしましょう。
譲渡所得の計算は以下の通りです。
ただし、譲渡所得に関しては、「3,000万円特別控除の特例」(譲渡所得3,000万円までは所得税や住民税がかからない、ただし次の新居で住宅ローンを使用する際の住宅ローン控除制度とは併用不可)や「10年超所有軽減税率の特例」(所有期間が長い物件の場合は所得税と住民税の税率が軽減される)「特定居住用財産の買換え特例」(一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる)などがあるため、譲渡所得に対しては課税されないケースがほとんどです。
万が一、譲渡所得がマイナスになった場合は確定申告をすることで払いすぎた税金が戻ってくるので、確定申告の必要があるかどうかは確認しておきましょう。
マンション売却にかかる費用は物件価格の約4%
マンションを売却する際に発生する費用は表のとおりです。
【例:5000万円で物件を売却。りそな銀行でのローン残債が2000万円の場合】諸費用 約192.7万円
費用項目 | 費用の概要 | 支払時期 |
【不動産会社】 |
[売却価格×3%+6万円]+消費税 |
売買契約時/引渡し時 |
【契約書用】 印紙代 |
契約書に貼付する印紙税 3万円(※2) |
売買契約時 |
【司法書士】 登記費用 |
抵当権抹消費用 1万円~2万円 | 引渡し時 |
【金融機関】 繰上返済手数料 |
全額返済・変動金利型の場合 11,000円(※3) | 引渡し時 |
その他 | 引っ越し費用等 15万円と仮定(※4) | 引渡し時 |
※1 売買価格400万円超の場合の仲介手数料3%を採用した計算式で算出しています。
※2 印紙税は売却価格により異なります。
※3 繰り上げ返済手数料は、金融機関や手続き方法、金利プランによって異なります。
※4 引っ越し費用は3人家族の相場を採用(参考:引越し侍)
項目によって支払い時期が異なったり、ローンを完済している場合は抵当権抹消費用が不要だったり、しますので、ご自身の状況に合わせて確認してみてくださいね。
マンション売却にかかる時間は3か月~6か月
マンションの売却にかかる時間は一般的に3ヶ月~6ヶ月。表を見ると分かるように、準備や相場を調べて査定を依頼するのにできれば数日で終わらせることができれば理想です。マンション売却は始めにスピード感を持ってスタートすることがポイントです
マンション売却の方法3つ
【仲介】時間をかけ、なるべく高く売却したい時に
マンションを売却する際に最も一般的な売却方法で、不動産会社に買主を探してもらったり、交渉をしてもらったりするなど、売却のサポートを行ってもらいながら売却活動を進めます。
仲介は自由度が高く、売り出し価格も売り出し時期も自分で自由に決められるので、最も高く売りやすいのがメリットです。
しかし、相場よりも高い価格で売り出すことで売却までに時間がかかる可能性も。
販売スケジュールを検討ししつつ、最終的な成約価格の目標も設定するようにしましょう。
【買取】スピーディーに売却したい時に
不動産会社にマンションを買い取ってもらう方法です。そのため、買主を探す時間が必要なく、通常3ヶ月~6ヶ月かかると言われているマンションの売却期間も1ヶ月~3ヶ月程度で売却が可能です。
転勤や引っ越しの都合などで早くマンションを売却したい方に向いているでぃよう。
デメリットとしては、買取価格が売却相場の70%~80%程度になってしまうこと。不動産会社は買い取った後にそのまま売却するのではなく、クリーニングや修繕をしてマンションを売りに出し、利益を乗せるため、売主から買い取る際は売却相場より安くなります。
【任意売却】売却益で住宅ローンが返済できない時に
マンションを売却する際に、ローンを完済できない場合の選択肢が任意売却です。
任意売却とは、債権者(住宅ローンを借りている金融機関)の許可のもと、不動産を売却すること。
一般的にはマンションの売却益でローンの残債を一括返済し、抵当権を抹消した上で買主に引き渡しますが、ローンの返済が滞っていたりマンションの売却価格が低かったりする場合にこの方法が有効です。
マンションの売却額をすべてローン返済に利用するなどを条件に、金融機関に許可をもらって売却し、抵当権を抹消、その後に残ったローンを返済していきます。
住宅ローンを数か月滞納している場合は、そのまま放置すると金融機関からの督促状が届き、最悪の場合、強制的な競売にかけられることに。
競売では、通常の売却や任意売却と比べて低価格で売却される傾向があり、引渡時期も強制退去となります。任意売却の方が売却資金の配分や引渡時期も相談可能なので、金融機関に相談してみましょう。
マンション売却におけるコツとは
売り出すなら春か秋がおすすめ
不動産業界の活況期は春と秋と言われています。
春は新生活が始まる季節であり、秋は年末に向けて住まいを考え始める時期でもあります。
これらの時期は物件を探している買主が多いので、実売期に内覧の機会を設けられるよう、2月や8月から売出に向けて準備を始めましょう。
一方、売れづらいのは夏や冬。年末から年始にかけては行事等で何かと忙しい人が多く、夏もイベントが多い上に気温も高くなるため、家を探そうというマインドになりづらいことが推測されます。
買主側の都合を考えて動くことが、内覧対応をまとめて行う、早期に高値で売却できる、など売却側のメリットにもつながるでしょう。
媒介契約の種類を知って賢く不動産会社を使おう
マンションの売却を不動産会社にサポートしてもらうために結ぶ媒介契約は3種類。
一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任契約、それぞれの特性は以下の通りです。
【一般媒介】
人気エリアの物件を高く売りたい場合は、一般媒介が良いでしょう。
さまざまな不動産会社と売却を結べるため、各社が買主候補を探してくれます。ただし、一般媒介では、たくさんの不動産会社とのやり取りが必要になる点には注意が必要。
不動産会社が物件情報を登録する東日本不動産流通機構(通称:レインズ)への登録義務や売主への報告義務もないことから、不動産会社にとっては制約が少ない契約形態です。
【専任媒介】
自分で買主を探しつつ、1つの不動産会社に売却サポートを依頼する方法です。
専任媒介の場合、仲介手数料の割引を交渉できることも。レインズへの登録義務があるため、物件情報を見た他の不動産会社が買主を紹介してくれるでしょう。期間を決めて不動産会社担当者と二人三脚でしっかり売却活動を行いたい方におすすめであり、最も一般的な方法です。
【専属専任】
自分で買主を探すことはできませんが、1つの不動産会社から手厚い売却サポートを受けられる方法です。売りにくい物件を早く売りたい場合や手間をかけたくない場合は、最も制約が多い契約形態で不動産会社に動いてもらうようにしましょう。
コーポラティブハウス売却の際の注意点
コーポラティブハウスも通常のマンションと売却の大きな流れは一緒ですが、こだわって作った分、次の買主がどういう方になるのか気になるもの。そこでコーポラティブハウスの売却の際の注意点を以下に解説します。
理解ある買主を見つけること
コーポラティブハウスの特徴のひとつが専有部の自由設計。駅徒歩分数や間取り数など、通常のマンションを選ぶ際に重要視する条件だけでなく、こだわってつくった間取りや内装仕様を伝える方が売却後の相違を生まず、安心して次の方に引き継ぐことができます。
また専有部にお金をかける分、共用部が最低限だったり、入居当時からのコミュニティが醸成されていたりするのもコーポラティブハウスの特徴。それらも包み隠さず買主さまに伝えてみることで、物件とのマッチングが可能になります。
理解ある不動産会社に売却活動を依頼すること
不動産会社担当者の中には、コーポラティブハウスについて知らなかったり、ネガティブなイメージを持っていたりすることも。この場合、買主候補がコーポラティブハウスについて理解しないまま内覧に来ることもあるでしょう。そのような認識違いを防ぐために、物件について丁寧に説明したり取材記事を掲載する不動産会社やコーポラティブハウス企画会社に売却活動を依頼するのがおすすめ。
これらの会社はコーポラティブハウスについて既知の買主さま候補を持っている可能性も高いでしょう。
まとめ
マンションを売却する際の大まかな流れとコーポラティブハウス売却の際の注意点について解説してきました。どちらも大きな流れや費用に差はありませんが、コーポラティブハウスを売却する際には理解ある買主と不動産会社を見つけることがポイント。
コプラスでもコーポラティブハウスの仲介活動を行っていますので、お気軽にお問い合わせください。
執筆者:株式会社コプラス
渋谷区にあるまちづくりが得意な不動産コンサルティング会社。コーポラティブハウスの企画をメイン業務としながら、家づくりに関する知識をお届けするデジタルコラム・「CO+コラム」も運営しています。
◆コーポラティブハウス特設サイト https://cooperativehouse.jp/
◆お宅訪問インタビュー動画: https://cooperativehouse.jp/casestudy/
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この記事を書いた人
株式会社コプラス