ペットとマンションで暮らすときの環境や室内のチェックポイント

暮らし

一緒に暮らすペットのことを考えて住まい探しをしている方、引っ越しをして新しくペットを迎えようか考えている方に向けて、マンション(集合住宅)でチェックすべき環境や室内のポイントを紹介します。ペットと暮らすとなると、集合住宅ならではの気を付けるべきポイントがあります。賃貸か購入か、あるいは新築、中古どちらを購入するにしても入居後、"チェックしておくべきだった"と後悔することがないよう、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。


まずは環境をチェックする

【環境】管理規約を細則までしっかり確認する

賃貸か購入かを問わず、マンション入居前には「ペット飼育可」かどうか確認する方は多いでしょう。
しかし、「ペット飼育可」といっても、何でもOKというわけではありません。たいていのマンションの管理規約には「動物飼育使用細則」などの細かいルールが設定されています。

例えば、体長40cmまで(小型犬~中型犬サイズ)や、飼育頭数は2頭まで、等。飼育可能なペットに制限があるだけでなく、飼育方法についても規定があり、共用部分でのペットの扱いも集合住宅によって異なり、細かなルールが決められているのが実情です。

【共用部でのペット飼育ルール一例】
・専用庭やルーフバルコニーなどの専用使用権のある共用部ではペットを遊ばせてはならない
・バルコニーでのブラッシングは禁止、排尿などもさせないこと
・エレベーターや廊下などの共用部分ではペットを抱きかかえて運ぶこと

「専用庭で犬を遊ばせたいからと入居したのに、庭にペットを出すのは禁止だといわれてガッカリした」など、事前に細則までしっかり確認していなかったことによるトラブルは少なくありません。

中古マンション購入を検討している場合には、「ペットの飼育が許可されているか」だけでなく、具体的な条件やルールがどうなっているのかしっかり確認をしましょう。仲介不動産会社を通じて管理規約を取り寄せることができるので、自分でしっかり読み込むことが重要です。

なお、新築マンションの場合、「ペット飼育可」となっていても細則まで決定していないケースもあるため、どういう方向性なのか、不動産業者や管理業者に確認しておくといいでしょう。

実際にペットと一緒に入居する際には管理組合宛に届出が必要です。一般的には、ペットの写真や予防接種を受けた証明などの書類を届け出ればOKです。

【環境】既に入居しているオーナーのマナーを目視と質問で推測する

既に入居者がいる賃貸マンションや中古マンションを検討する際、専有部(室内)だけでなくチェックしておきたいのが、ペットを飼育している人のマナーについてです。

多くのペット可マンションでは、ペットを飼っている人の割合は1~2割程度なのが相場。つまり、大半の入居者はペットを飼っていません。それだけに、既に入居しているペットオーナーのマナーが悪いと、入居後、しっかりルールを守っていても疑いの目を向けられないとも限りません。そんな目に合わないためにも事前確認が必要です。

ポイントは「売主や管理人、不動産業者への質問」と「共用部分の状態のチェック」の2点

中古マンションの内覧時には、マンション内のペットの飼育状況かどうなっているのか、売主に直接聞いてみてもよいでしょう。管理人がいる場合は、ペットの飼育に関する現状について質問してみると判断できます。

「マナーを守っているオーナーが多い」や「ペットに関して特に気になる点が無い」など、の返事が返ってきたらそのマンションはペット飼育に関して理解があると判断してOKです。質問する際には、これまで寄せられた苦情状況について聞いてみると、正直な意見が聞けるかもしれません。

次に共用部分の状態を確認しましょう。エントランスなどの共用スペースが清潔か、掲示板にはどのような掲示物がはられているのか、チェックすることで実際にペットに関するトラブルか起きているかチェックすることができます。

昨今はペット倶楽部のようなペット飼育者を対象に飼い主同士が情報交換したり、マンション内でのマナー向上を目指すサークルへの参加が義務づけられているケースもあります。
そういったサークルの有無はもちろん、ある場合はどんな活動をしているのかを含めてヒアリングをしておくとも大切です。

【環境】ペット専用設備の使用料や管理費用は?

共用部分の足洗場や汚れにくい素材の採用など、ペット飼育をサポートする設備やサービスは、ペットと快適に過ごしたい人にとっては魅力的ですが、その分、施設維持の名目で月々の共益費が高めに設定されていたり、施設使用料が必要なケースも少なくありません。施設面の充実度ばかりでなく、費用についても事前に確認しておきましょう。

賃貸マンションの場合、最も大きなトラブルになるのが、退去時の原状回復費用です。

常に掃除を心がけていても、独特のニオイや汚れ、床のキズなど、飼っていない人に比べ修繕が必要になる箇所や範囲が大きくなるのは仕方ありません。

ペット飼育可の物件の場合、敷金を通常より1か月上乗せしたり、1か月分は償却する仕組みになっていたりするなど、退去時の負担がない場合もありますが、それでも状況によっては新たな現状回復費用をを求められるケースも。

あらかじめ原状回復費用について確認をし、退去時のことを考えて準備をしておくことも大切です。ちなみに、クロス張替えの目安は8帖程度で5、6万程度、マンションの部屋全体の場合は2~30万円程度といわれています。

ファミリータイプのマンションの場合は、ペットが行き来できる部屋を限定しておくことで、原状回復費用を縮小することもできる可能性もあるので、検討してみましょう。

【環境】入居前のペットと暮らすためのチェックリスト

エントランスに面している通りの車・人通りはどうか
共通 マンション内でペット飼育をしている割合は、どのようなペットが飼われているか
近所に犬同伴で入れる公園はあるか
周囲に安全な散歩ルートはあるか
共通 近所に動物病院やペットホテル、ペットショップはあるか
共通 管理規約のペットに関する要項は細則までしっかりチェックしたか
共通 管理人や不動産業者にペットの飼育に関することを詳しく説明してもらえたか
共通 共用部分(エントランスや廊下)は清潔に保たれているか、ペットに関する掲示物はあるか
共通 ペット専用設備はあるかどうか、費用負担はどうなっているか確認したか
共通 賃貸の場合、原状回復に関する取り決めは確認したか

ペットにとって住みやすい間取りや室内の工夫とは?

【室内】住みやすい間取りをチェック!

ペットと快適に暮らすなら、間取りや室内での工夫も必要です。重要なのは、入居前にペットが暮らしやすいかどうかを見極められる目を持つこと。

あらかじめ犬や猫にとって危険な個所が分かっていれば、市販製品や簡単なリフォームで予防策を講じることもできますし、家具の配置を工夫すれば、犬や猫にとっても快適な部屋づくりを実現することができます。
下記に入居前に最低限、確認しておきたい箇所をまとめたので参考にしてください。

①玄関・廊下
犬の場合、散歩に行くときの準備や、帰ってきたときのケア(犬の足を拭いたり、汚物の処理など)を念頭に、玄関の広さや収納が充分かをチェックしましょう。また、玄関と浴室やトイレが近い方が、散歩後のケアがしやすく導線上便利です。

また、ペットの外への飛び出しや、来客への飛びかかりを防ぐためにも、廊下はペットの出入りを制限したい場所。リビングと廊下の間に扉があるかどうか、ペットフェンスが取り付けられるかどうか、確認しておきましょう。

②床の素材
フローリングは掃除しやすく、多くの住宅で採用されていますが、特に犬にとっては滑りやすく、股関節のケガの原因になることもあります。カーペットやラグを敷いたり、滑り止めコーティングをしたりすると、ペットにとって歩きやすく、爪によるキズ防止や防音効果にもなるでしょう。

③寝室
衛生面を考えて飼い主と犬の寝床は別々の部屋にするのが良いでしょう。しかし、犬が高齢になり介護が必要になった際は、寝室内に犬の寝床を設けた方が便利なケースも出てきます。その場合は、飼い主と犬の目線が合わない場所に置くのが互いにぐっすり休むコツなので、充分な広さがあるかのチェックをしておくといいでしょう。  

④カーテンボックス
高所を好む猫にとってカーテンボックスは格好の遊び場です。家具などを伝って上ることのできる配置だと、猫が上ってキズをつけたり、汚すことも考えられます。
また、上るのが得意な猫も、実は下りるのは苦手。上がったはいいものの下りてこられなくなる事態も想定されます。
カーテンボックスは壁付けではなく天井付けがベスト。そうでない場合は、猫が上れないないよう配慮しましょう。

浴室
転倒や溺水、シャンプーなどを誤飲してしまうなど、浴室は最も事故が起こりやすいエリア。基本は飼い主と一緒でなければ入れないようにしておくことが大切です。
浴室でまずチェックしたいのが扉。犬や猫が開けにくいタイプの扉(引き戸や内開きなど)であるのが理想です。
また、浴室の扉は閉めておくことが前提になるので、浴室乾燥機や窓など湿気対策が施されているかも確認しましょう。

万が一、犬や猫が侵入してしまったときのことを考えて、浴槽には蓋があるか、洗剤や石けん、シャンプーなど犬や猫が舐めると危険なものを常に片付けておける収納(高い場所や扉付きがベスト)があるか確認することも大切です。ない場合はどのような工夫ができるか考えておきましょう。

⑥洗面所
洗面所は基本、掃除しやすい床材が使用されているので、ペットのトイレを置くのに最適なエリア。ペットのトイレを置ける広さがあるか、確認しておきましょう。

⑦キッチン
衛生面や事故防止の観点から、ペットの出入りを制限したいエリアです。
理想は、扉で仕切られた独立式のキッチン。加えて扉は廊下側からみて内開き、ドアノブはレバー式ではなく、握り玉など犬や猫が開けにくい仕様の物がベスト。扉が無い場合は、ペットフェンス(赤ちゃん用の安全柵でも可)などで侵入を制限することができれば、問題はありません。

しかし、昨今ではオープンタイプのキッチンが主流です。その場合は、ペットを一時的にケージや別部屋に隔離したりするほか、蓋付きのゴミ箱にする、ガスコンロカバーを設置する、など市販のアイテムを使用して事故を未然に防ぐ工夫が必要です。

⑧バルコニー
バルコニーからの転落事故にも要注意。大前提としてバルコニーには出さない、万が一出てしまった時のことを考え、柵の幅はどのくらいか、縁に上がれないよう工夫はできるか、あらかじめ対策を講じておくことが大切です。

⑨空気の取り入れ口
換気口の位置を確認し、空気動線についてチェックすることも大切です。2003年の建築基準法改正以降、住宅には24時間換気システムを導入することが義務付けられているいますが、それ以前の住宅では窓を開けたときの空気の通りはどうかなどを確認しておきましょう。

⑩リビング
人と同様、ペットが多くの時間を過ごすリビングには、ケージサークルやハウスを置けるだけの充分な広さがあるかをチェックしましょう。設置場所は、壁際などの比較的静かな場所がベストです。

また、コンセントにも要注意。おしっこをかけてしまったり、コードを齧ってしまうなどの事故の危険性があるため、専用のコンセントカバーやコードカバーの準備をしておきましょう。

【室内】ペットと楽しく暮らせる住まいチェックリスト

玄関

散歩後のケアができる程度の広さと収納があるか
廊下 ペットフェンスなどで廊下への行き来を制限できる間取りか
共通 ペットにとって歩きやす床材になっているか
寝室 ペットの寝床と分けられるか、一緒の場合は寝床を置けるスペースがあるか
浴室 犬や猫が触れにくい場所にシャンプーや洗剤を置けるか、換気ができるか
洗面所 ペット(特に猫)のトイレが置けるスペースがあるか
キッチン ペットの行き来を制限できる間取りですか
バルコニー ペットが転落、脱走してしまう隙間がないかどうか
リビング ケージが置けるスペースがあるか、コンセントの位置、排気口の有無、カーテンボックスの仕様を確認

コーポラティブハウスなら管理規約作成から携われる

希望入居者が集まり、建設組合を結成して新築マンションをつくる仕組みであるコーポラティブハウス。企画開始から約2年と時間はかかるものの、室内を窓の位置や大きさから自由に決められる点が魅力のひとつですが、実は管理規約の作成段階から携わることができます。

なぜなら、建設組合が事業主となり、工事会社や設計事務所、管理会社を決めていくから。管理会社が決定したら管理規約の案を受け取り、子細を決めていきます。ペット飼育に関して、建設組合でアンケートをとり、専用庭で遊ばせることを可としたコーポラティブハウスの例もありました。

通常、マンションの管理規約は決まっているものに従うか、改定を望む場合は、入居後に管理組合の一員として対応するしかありませんが、コーポラティブハウスの場合は、新築の分譲マンションを作る過程で管理規約も確認できることを知っておくとよいかもしれませんね。

まとめ

ペットの視点で住まい探しをしている方、引っ越して新しくペットを迎えようか考えている方に向けて、マンション(集合住宅)でチェックすべき環境面や室内のポイントを紹介しました。
人とペット両方にとって住みやすい暮らしは、コーポラティブハウスでつくることができるかもしれません。

ペット好きの方は、ぜひコーポラティブハウスの自由設計段階でペットが暮らしやすいような工夫し、管理規約をつくるところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

執筆者:株式会社コプラス コーポラティブ事業部 大澤(宅地建物取引士)

渋谷区にあるまちづくりが得意な不動産コンサルティング会社でコーポラティブハウスの企画運営を担当しています。同時に家づくりに関する知識をお届けするデジタルコラム・「CO+コラム」も運営中。

◆コーポラティブハウス特設サイト https://cooperativehouse.jp/

◆お宅訪問インタビュー動画: https://cooperativehouse.jp/casestudy/

この記事を書いた人

株式会社コプラス

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