マイホームを買う・借りる前に知っておくべきハザードマップの活用法

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近年は台風や線状降水帯などの発生が相次ぎ、大雨や洪水、暴風による被害が頻発しています。すべての災害を予測することは難しいですが、水害対策の助けになるのがハザードマップ。安心な住まいを実現するためにも、マイホームの検討をしている場合は、事前にハザードマップを確認しておく必要があるでしょう。本記事ではハザードマップとは何か、ハザードマップの見方、また検討中の立地がハザードマップの浸水地域に指定されている場合の考え方についても、解説します。


ハザードマップとは?

出典:世田谷区:洪水・内水氾濫ハザードマップ(内水氾濫・中小河川洪水版)データ

ハザードマップとは、その地域にどのような災害の危険があるのかを地図に示したもの。
対象となっている災害の種類は、洪水、津波、高潮、土砂災害、地震などで、地域によっては火山の噴火も含まれます。

2020年の宅建業法の改正で、不動産会社は物件購入時などの重要事項説明の際に、購入希望者に対して水害に関するハザードマップの提示と説明義務が必要になりました。

不動産取引の現場では、重要事項説明は売買や賃貸契約の直前に行われることが多く、検討時間が十分ではありません。そのため、物件探しの段階でハザードマップを見て、あらかじめ災害リスクの有無を確認しておくのが賢明でしょう。

ハザードマップはどこで入手できる?

ハザードマップは国や都道府県の情報を参考に市区町村が作成し、作成時や引っ越しのタイミングで住民に配布されます。すべての自然災害について網羅しているわけではなく、洪水、内水、高潮、津波に関する情報をまとめた「水害ハザードマップ」を作成している自治体がほとんどです。

水害ハザードマップでは、2015年の水防法改正で見直された「洪水浸水想定区域」が表記されており、河川の氾濫による住宅などの建物の浸水リスクが高いと想定された区域が、浸水深ごとに色分けされています。

行政のホームページで閲覧可能なため、閲覧したい場合は『〇〇市 〇〇区 ハザードマップ』で検索しましょう。

市区町村のハザードマップには、特定の地域の危険性がわかりやすく示されています。
例えば付近に複数の川がある場合、どの川がどういう状況で氾濫するのか、どのような被害が想定できるのか、など詳細なところまで説明されているので、リスクを理解するのに非常に役立ちます。

もしも、広範囲の情報を参照したい場合は、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」が便利。身のまわりの災害リスクを調べる「重ねるハザードマップ」と地域のハザードマップを閲覧する「わがまちハザードマップ」の2種類が閲覧可能です。

「重ねるハザードマップ」は、地図上で複数の災害リスクを重ねて表示することが可能です。たとえば、住んでいる場所の自然災害リスクをまとめて調べたり、避難指示によって避難する際に、道路の冠水想定箇所や洪水浸水想定区域などを地図上に重ねたりすることで、安全な避難ルートを確認することもできます。

一方、「わがまちハザードマップ」では、市区町村のハザードマップの有無やインターネット上で公開されている場合にはそのリンク先を知ることができます。

ただし、ハザードマップで記載されるのは一級河川・二級河川の被害想定であるという点。局所的な大雨でも氾濫のリスクがある中小河川については、被害想定が記載されていません。

また、ハザードマップ自体は数年に一度更新されることがしばしば。その場合、国土交通省のハザードマップ情報と、各市町村のハザードマップの内容が一致しないケースもあるため注意が必要です。

両者を確認し、常に最新情報をチェックするようにしましょう。

ハザードマップの使い方は?

では、次にハザードマップはどう活用したらよいのでしょうか。

災害リスクを把握する

ハザードマップで周辺のリスクを事前に把握し、物件の検討に役立てたり、たとえば浸水リスクがあれば、土台をかさ上げして家を建てるなど「住まい方の工夫」に役立てることができます。

避難ルートを確認する

気象情報や自治体からの避難勧告などでリスクが高まったときに、ハザードマップを見て、具体的な避難場所や避難経路を確認することができます。

もし買いたい家がハザードマップに指定されていたら?

購入を検討している家が洪水浸水想定区域に指定されているエリアにあった場合、購入を見合わせるべきなのでしょうか。

判断にあたって、ハザードマップで特にチェックすべきなのは想定される「浸水深」。洪水ハザードマップで表示される最大浸水深は0.5mと3.0mを基準とし、必要に応じて5.0mが追加されています。

木造戸建て住宅における浸水深の目安としては、1階部分が床上浸水する0.5m、2階部分が床面浸水する〜3.0m。〜5.0mになると2階部分が水没し、3階の床面も浸水する可能性があるでしょう。

たとえ同じ洪水浸水想定区域内であっても、浸水深によって対処や避難方法が異なります。

鉄筋コンクリート造のマンションの場合は、居室が何階なのか、重要であり、どのような対処や避難方法が最適なのか、確認しておく必要があるでしょう。

このように購入検討する物件の種類や所在地によって対策が異なるため、洪水浸水想定区域内にある物件だからといって、一概に購入を避けるべき物件とは言い切れません。

ハザードマップにおいて水害リスクが高いからといって購入を避けるのではなく、購入希望の物件に潜むリスクを正しく理解し、どのような対策を講じる必要があるか事前に把握することが大切です。

過去の浸水履歴をはじめとしたリスク可能性はもちろん、いざ災害が発生した際の避難場所を確認しておくことも重要といえます。

こうしたチェックポイントを全て確認したうえで、自身が許容できる水害リスクなのか、住宅価格や住みやすさとのバランスはどうなのかといった点も考慮しつつ、最終的に購入すべきか判断するようにしましょう。

家を買う際は「タイミング」や「条件が」大事。水害リスクとどう向き合うかを考えよう

マイホームを探していると、希望エリアが全て水害リスクの高い地域だったというケースも出てくるでしょう。

ハザードマップはあくまでも災害予測地図であり、記載されている情報は不確実性の高いものも含まれています。
ハザードマップから正確な災害リスクを判断するのは、不動産のプロでも難しいもの。
家を買うにはタイミングも大切なため、現状の水害リスクに振り回されすぎることなく、水害リスクとどう向き合うかについて、いま一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

執筆者:株式会社コプラス コーポラティブ事業部 大澤(宅地建物取引士)

渋谷区にあるまちづくりが得意な不動産コンサルティング会社でコーポラティブハウスの企画運営を担当しています。同時に家づくりに関する知識をお届けするデジタルコラム・「CO+コラム」も運営中。

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この記事を書いた人

株式会社コプラス

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