地方自治体が認めるマンションの防災力とは?マンションの防災力認定制度について紹介。

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日本における災害の深刻度は年々増しているようです。政府の特別機関である地震調査研究推進本部では、30年以内で首都直下地震が発生する確率は2020年1月24日時点で70%、2019年には台風19号による豪雨によって、首都圏のタワーマンションの電気系統設備が浸水し、停電と断水が発生した結果、多くの住人がトイレもエレベーターも使えない生活を余儀なくされました。このようなことから、賃貸、分譲問わず、住まいの防災力に注目している人は多いのではないでしょうか。本記事では、昨今地方自治体が取り入れている、マンションの防災力認定制度について紹介します。住まい選びの選択項目に「防災力」を求める人の割合も増えていくかもしれません。


マンションの防災力認定制度とは?

日本における昨今の災害状況を受け、災害に強いマンションを認定する制度を設ける自治体が増えています。2009年度に開始した大阪市の「防災力強化マンション認定制度」を皮切りに、2012年度には大阪府、2013年度には仙台市や東京都では中央区、墨田区、などが制度をスタートさせました。

いずれも一定基準の防災性能を有するマンションを自治体が認定する制度で、大阪市の場合、2023年5月31日時点で、すでに57件(7、581戸)のマンションが計画認定され、そのうち55件(6,387戸)が完成(認定)してます。

認定している地方団体の例

最近では、2022年2月に横浜市が「よこはま防災力向上マンション認定制度」を開始しました。すでに制度導入済みの地方団体を紹介しつつ、横浜市の制度を例に自治体のマンション防災力認定制度がどういったものか解説します。

大阪市

出典:大阪市「大阪市防災力強化マンション認定制度

大阪市では、防災性の向上と災害に強い良質なマンションの整備を誘導するため、耐震性や耐火性など建物の安全性に関する基準に適合することに加え、被災時の生活維持に求められる設備・施設等の整備、住民による日常的な防災活動等の実施など、ハード・ソフト両面で防災力が強化されたマンションを「防災力強化マンション」として認定する制度を2009年8月からスタートしています。

背景には、阪神・淡路大震災を経験したことによる、地域コミュニティの重要性があるため、マンション住民を含めて地域の防災力を高める必要を実感したそうです。

仙台市

「杜の都防災力向上マンション認定制度」と称し、マンションにおける防災活動のさらなる充実や建物性能の向上を図ることを目的に、マンションの防災力を独自に仙台市が認定する制度です。
評価は「防災性能」または「防災活動」の項目で行い、取り組みの内容や活動段階などにより、それぞれ星の数(最大3つ星)で認定、「防災性能」と「防災活動」のすべての項目に取り組んだ場合は、最大6つ星となります。

横浜市

「よこはま防災力向上マンション認定制度」とは、災害に強いマンションの形成と周辺地域を含めた防災力の向上を図るため、防災対策を実施しているマンションを「よこはま防災力向上マンション」として横浜市が認定しています。

出典:横浜市「よこはま防災力向上マンション認定制度」

新築・既存、分譲・賃貸に関わらずすべてのマンション(共同住宅)が対象で、防災対策を実施しているマンションのうち、防災活動などのソフト対策を実施しているマンションを「ソフト認定」、建物全体の対策を実施しているマンションを「ハード認定」としてそれぞれ認定します。
地域との連携が図られているマンションは更にそれぞれ「ソフト+(プラス)認定」「ハード+(プラス)認定」として認定します。

防災認定されるまでの流れ

横浜市を例に取り、防災認定が受けられるまでの例を紹介します。

出典:横浜市「よこはま防災力向上マンション認定制度」

新築マンションの場合

新築マンションの販売者にあたる、不動産ディベロッパーが計画・設計段階から申請手続きを行い、本認定を受けます。その後は2年ごとの状況報告が必要です。

既存マンションの場合

マンション管理組合が申請手続きを行い、本認定を受けます。その後は2年ごとの状況報告が必要です。

防災力認定されたマンションはどうなる?

認定されたマンションは行政のホームページなどで公表され、認定マークがもらえるなど「行政からのお墨付き」となります。横浜市の場合は、マンション防災アドバイザーの派遣が年間5回まで受けられ、管理組合の活動の支援が受けられます。また、「ハード+(プラス)認定」を取得するマンションのうち、地域の防災力向上に役立つ防災倉庫などの施設を設けた場合、容積率が緩和されるなどのメリットもあるそうです。

所有者、不動産業者、地域に対するメリット

住まい探しをするひとにとっては、災害に強いマンションを見つけやすいほか、すでに入居しているマンションが防災認定された場合は、資産価値が上がるというメリットもあるでしょう。また、認定を受けることで住民の防災意識が高まるという効果も期待できます。

マンションの防災力認定制度は、マンションの所有者、マンションを販売する不動産業者、マンションが位置する地域それぞれにメリットがある制度です。

防災力に優れたマンションというお墨付きがあれば、資産価値が向上し、広告にも活用できます。また、結果的にはこのようなマンションが増えれば、結果的に地域の防災性も高まるでしょう。

今後さらに多くの自治体での導入が見込まれる本制度、住まい探しの選択肢において「防災力」が重要項目になる日も近いことでしょう。

この機会にコーポラティブハウス企画会社のコプラスへお気軽にご相談ください。

 

執筆者:株式会社コプラス コーポラティブ事業部 大澤(宅地建物取引士)

渋谷区にあるまちづくりが得意な不動産コンサルティング会社でコーポラティブハウスの企画運営を担当しています。同時に家づくりに関する知識をお届けするデジタルコラム・「CO+コラム」も運営中。

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この記事を書いた人

株式会社コプラス

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