住宅購入価格の目安は年収の何倍?住宅ローン借入時のチェックポイントもご紹介!
人生での買い物のうち、最も高額になるものの一つが「住宅」。
購入を考えた時、避けて通れないのが「お金」の問題です。
住宅資金として、大部分の人が利用するであろう住宅ローンの借入額を決める際には、現在の年収がひとつの基準となります。
そこで本記事では、年収をもとにした地域別の住宅購入価格を前提に、職業別の住宅ローン借入目安、最後に「年収の何倍か」で住宅ローン借入額を決める際の注意点を解説します。
もくじ
年収と物件購入費用の関係とは
人生最大級の買い物である住宅購入で重要になってくるのが「住宅購入価格は年収の何倍が目安か」ということです。
年収の7~10倍が費用の目安
住宅購入を考える際、参考になる数値として「年収倍率」という考え方があります。
これは年収に対する住宅購入金額の比率を示す数字で、現在は「7~10倍」が目安になっています。
この比率はあくまで「購入金額」に基づく数字であり、「住宅ローン利用額」に関するものではない点に注意が必要です。そのため、購入金に「頭金」が含まれている場合、実際の住宅ローン利用額はさらに低くなります。つまり、単純に年収倍率で住宅ローン利用額を決めてしまうと、平均よりも借り過ぎとなってしまうのです。
全国平均は年収の8.41倍
東京カンテイの調査によると、2020年時点で新築マンションの年収倍率は4年連続で拡大。
「全国平均は8.41倍」と、前年から0.22拡大との結果になりました。全国的にみると、新築マンション購入価格の目安は年収の8.41倍が目安と言えるでしょう。
地域別平均で最も高いのは東京都の13.40倍
地域別に見ると新築マンション購入価格の年収倍率が最も高かったのは、東京都の13.40倍です。その要因としては、土地代や物価が高いことや大企業が集積していることで、必然的に高所得者が多いことなどが挙げられます。よって、物件購入価格も相対的に高くなり、年収倍率が高い傾向に。他にも、大阪府など都会になればなるほど年収倍率は高い傾向になっています。
つまり、新築マンションを購入する際、住宅ローンの借入可能額の目安は日本全体では年収の8倍前後ですが、居住地によっては年収の10倍以上と考えておいた方がよいでしょう。
職業ごとに年収の捉え方が変わる
先ほどまでは「住宅購入価格」に焦点を合わせていましたが、続いては「住宅ローン」を年収の何倍まで借りられるのかを見ていきましょう。今回はサラリーマン、自営業者、公務員の3パターンをご紹介。職業ごとに年収の捉え方が変わるため、注意が必要です。
サラリーマンは年収の6~8倍の住宅を購入
サラリーマンの場合は、「年収の6~8倍」までを住宅ローンで組むことができます。サラリーマンの住宅ローンを審査する上でのポイントは下記の通り。・収入の安定性
・返済不能リスクが小さいこと
・勤続年数からみた昇給の可能性
自営業者に比べると収入は安定しており、昇給していく可能性も高いため、自営業者よりも審査は通りやすくなっています。
ただし、就業先の経営不振などによる年収低下やリストラなどのリスクも少なからずあるため、勤続年数や勤めている会社の規模などによって借入可能額に差が生じることもしばしば。
自営業者は合計所得の6~8倍の住宅を購入
自営業者はサラリーマンとは異なり、年収ではなく所得を基準に計算し、「合計所得の6~8倍」を借り入れることが出来ます。
自営業者の住宅ローンを審査する上でのポイントは下記の通り。
・収入の変動性
・返済不能リスクが大きいこと
・年収ではなく、所得倍率で計算すること
自営業者は景気等により、事業所得も変動が大きいため、金融機関にとっては貸付リスクが高く、審査も厳しくなる傾向が強いことも念頭に置いておくべきポイントです。
(番外編)公務員は年収の7倍前後の住宅を購入
公務員は「年収の7倍前後」を借り入れることが可能です。
公務員の住宅ローンを審査する上でのポイントは下記の通り。
・収入の安定性
・返済不能リスクが極めて小さい
・退職金がある
公務員はサラリーマンや自営業者と比べて一番収入が安定しており、倒産のリスクもありません。金融機関にとっては一番の低リスクで住宅ローンとして貸し出すことが出来ます。そのため、審査も一番通りやすい職業とも言えます。
「年収の何倍か」で住宅ローン借入額を決める際の注意点
ここまで職業別に「年収の何倍か」で住宅ローンの借入可能額などを説明してきました。しかし、年収だけで住宅ローンの借入額を決めるには注意が必要で、年収以外にも、考えなければいけないことが多くあります。
その理由として挙げられる3点を詳しくご紹介します。
①年収と手取りは異なる
第一に注意をしなければいけない点が「年収は手取りとは異なる」ということです。年収は、その年における総支給額の合計を指します。通常、給与は総支給額から税金や社会保険料が控除されてから振り込まれますが、この控除をする前の額が総支給額となります。また、個人事業主だと、収入から個人の経費を精算する前の収入合計を年収といいます。
一方、手取りとは総支給額から税金や社会保険料が控除された後の額を指します。個人事業主だと、収入から個人の経費を精算して手元に残る額が手取りとなります。
②年収倍率には頭金が含まれているため実際の利用額はもっと低くなる
次に冒頭でご紹介した「年収倍率」には頭金が含まれていることに注意が必要です。
例えば、年収が500万円で全国平均の年収倍率7倍だった場合には、3,500万円が全国平均の年収倍率で計算できますが、これには頭金の金額が含まれています。頭金を500万円を支払っている場合は、実際にローンを組むことができる借入金額は3,000万円となります。
このように、年収倍率の平均額には頭金が含まれており、年収から年収倍率で計算した額で住宅ローンを組むことができるわけではないことに注意しましょう。
③返済負担率や返済比率を考慮する
住宅ローンを借り入れる際に考える上で重要になってくる返済負担率や返済比率という言葉があります。返済負担率と返済比率は、基本的には同じ意味で使われており住宅ローンにおける年間の返済額が年収の何%になるかを示すものです。
適正な返済負担率(返済比率)の理想は20%以下と言われており、年収500万円の場合だと適正な返済負担額は1年で100万円以下となります。
ただし、理想通りの返済負担率にはならない事もあるので、まずは25%以下を目安にして借入金額を考えていきましょう。
住宅ローン借り入れで「年収の何倍か」以外の視点を持つべき理由
住宅ローンの借入金額を決める際には「年収の何倍か」以外の視点で見る必要もあります。その理由として挙げられる4点を詳しくご紹介します。
①家族の人数で借入金額は大きく変わる
「年収の何倍か」以外で借入金額を考えるべき最大のポイントは「家族の人数」。
当然ですが、人数が多ければ多いほど家計の負担も重くなります。家族の人数によって同じ年収でも出費額が異なるため住宅ローンに充当できる金額も異なることに注意が必要です。
②年収は変化する
次に、将来に対する年収の変化も考えなければいけません。勤続年数を重ねれば、基本的に昇給して増えていきますが、減る可能性もあります。
住宅ローンは、最長35年と長期にわたり返済をしていくことになります。20年後や30年後は現在よりも年収は増えていると思ってしまいますが、働いている会社の経営が悪化して以下のようなことも考えられます。
・ボーナスが無くなる
・年収が下がる
・リストラにあう
また、個人事業主の場合は経営や景気により、毎年の年収が左右されます。こちらについても、現在の年収だけで借入金額を決定するべきではない理由の一つです。
③金利が変化する
変動金利で住宅ローンを組んだ場合、借入時と条件が異なってくる可能性があります。
変動金利とは、将来の金融市場の動向をもとに金利が見直され、変動するローンの仕組みを指します。そして、住宅ローンを低金利で借り入れる場合は、多くが変動金利になっています。文字の通り将来の金利が変動するので、年収が同じでも将来の金利が増えた場合は毎月の返済額は増加し、住宅ローンの負担は重くなります。
④「借りられる上限金額」と「無理のない返済額」は異なる
最後の理由として、「借りられる上限金額」=「無理のない返済額」ではないことです。
年収の25%~35%が「借りられる上限金額」になりますが、これは上限金額であって返済が可能である限界の金額を示します。限界の状態で返済を続けると日々の生活を圧迫して、更に家族状況の変化や年収の低下、金利の変化などに対応できません。
住宅ローンは無理のない返済額で借りることが最重要ポイントです。
無理なく返済できることが基本
様々なリスクを想定した上で、ゆとりを持った返済計画をたてる必要があります。
そこで、一つの目安となるのが年間の返済金額を年収の25%以下におさえる事です。
借入可能額にの25%~35%で住宅ローンを借り入れると、手取り額の半分近くを住宅ローンの返済へ充てなければいけません。
住宅ローン以外にも、生活費や子育て代、車代、生命保険代など様々な出費があります。
借入可能額は、住宅ローンを借り入れることが出来る限度という認識のみをして、出来るだけ25%以下に抑えて借入金額を設定するようにしましょう。
コーポラティブハウスという選択肢もおすすめ
新築マンションを自分たちの手で「つくる」仕組みの「コーポラティブハウス」においても住宅ローンは利用できます。コーポラティブハウスに参加する際の資金計画作成において、住宅ローンの返済比率もシミュレーションすることが可能です。
コーポラティブハウスとは
コーポラティブハウスとは入居予定者が複数集まり、設計士とともに共同で自由に設計するしくみのこと。
不動産ディベロッパーがつくったものを買う一般的な分譲マンションとは異なり、コーポラティブハウスの場合は、入居予定者が建設組合をつくり、「自ら事業主」となることで、マンションをつくっていきます。建設組合が直接土地を購入したり、工事を発注したりするので、中間経費が省けて最終的な価格のメリットも生まれます。
コーポラティブハウスの価格面でのメリット
新築分譲マンションの価格には、ディベロッパーの開発利益や販売手数料・広告宣伝費が含まれていますが、コーポラティブハウスは、自らが建築主であることに加え、モデルルームの建設をはじめとした大規模な広告宣伝を行わない分、無駄な経費を省いた価格になっています。
また、コーポラティブハウスの価格は、住戸ごとの土地代や建設費用などが開示されています。
設計士と打ち合わせをしながら自分の予算に合わせて、間取りや内装を決めていく点が最大の特徴で、結果的に取得価格に透明性が生まれ、納得感を得ることができます。
コプラスのコーポラティブハウスの強み
コプラスでは入居予定者に寄り添い、建物性能を大事にする設計士とコーポラティブハウスを企画し、事業を推進するコーディネイターが皆さんの住まいづくりをバックアップします。
また、コプラスの会員組織「CLUB COPLUS」に登録いただくと、物件情報や見学会、セミナーなどのご案内をいち早くお届けします。
まとめ
今回は年収をもとにした地域別の住宅購入価格を前提に、職業別の住宅ローン借入目安、最後に「年収の何倍か」で住宅ローン借入額を決める際の注意点を解説してきました。コーポラティブハウスでも、もちろん住宅ローンは利用可能。コーポラティブハウスにおいての住宅ローンのシミュレーションもコプラスではサポートしているので、お気軽にお問い合わせください。
執筆者:株式会社コプラス
渋谷区にあるまちづくりが得意な不動産コンサルティング会社。コーポラティブハウスの企画をメイン業務としながら、家づくりに関する知識をお届けするデジタルコラム・「CO+コラム」も運営しています。
◆コーポラティブハウス特設サイト https://cooperativehouse.jp/
◆お宅訪問インタビュー動画: https://cooperativehouse.jp/casestudy/
◆コプラスの仲介サイト: https://cooperativehouse.jp/agency/
この記事を書いた人
株式会社コプラス