お宅訪問Feelings Realized

集まった分だけ豊かになる住環境、サトヤマヴィレッジ<前編>


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まるで高原の別荘のようなこの風景は、実は福岡県北九州市の通勤圏内にある戸建住宅、サトヤマヴィレッジの一角です。
今回のお宅訪問は趣向を変え、このうらやましい環境にお住まいの3件のお宅を訪ねました。
後編はこちらからご覧ください


“里山に暮らす”ことで得られる
安心・安全・快適な暮らし

 

サトヤマヴィレッジは、コプラスと地元企業の(株)エス・コンセプトが、九州大学・北九州市立大学・北九州市と共に実現した、いわゆる産・官・学連携プロジェクトです。
“里山に暮らす”をコンセプトに、30種類・600本以上にも及ぶ樹木で雑木林をつくり、その周りに43戸の家々を配置しました。

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▲2008年度グッドデザイン賞受賞・金賞ノミネートいただいたプロジェクトです。

 

敷地内に道路をつくらず敢えて敷地延長とすることで、「合理的な価格」「全戸南向き4面開口」「里山と一体化した緑豊かな空間」「コミュニティを育むコモンエリア」「車が入ってこない、子ども達にとって安心安全な環境」など、戸建住宅に求められる数多くのニーズを実現しています。

竣工から7年が経ち、緑と共に、住まう方々同士のつながりも育まれてきたサトヤマヴィレッジ。
その豊かなコミュニティと自然が、日々の暮らしにどう彩りを加えているのかをぜひ伺いたい、というご依頼を大阪大学より受け、今回3件のお宅でインタビューをさせていただきました。


「塀がないからこそ楽しめる景色と
心地よい距離感が理想的な住まいです」

 

最初にお伺いしたのは、リビングから見えるサトヤマが美しいY邸。
「ここのいいところは、まず、緑が多い。塀がない。そして近所付き合いが楽しい、といったところでしょうか」とYさん。

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▲今回のインタビュアーは、大阪大学大学院で都市再生マネジメント学を学ばれている松谷さん。サトヤマでの暮らしに興味津々とのこと。

 

「購入の決め手は値段と間取りでしたが、住んでみてからよかったなと思うのは、コミュニティやご近所付き合いの良さです。うちは夫婦ふたりなんですが、子どもがいらっしゃるお宅は、気軽に子どもを預けたりできる関係なのは、いいんだろうなあと思います。サトヤマで子どもを遊ばせるのも安心ですし。知っている人ばかりなのと、車が入ってきませんから」

Q. ということは、プライバシーが欲しい人には向かないとも言えるのでしょうか?

「正直、買う前は悩みました(笑)。普通の住宅の方がいいのかな?と。それでもここを選んだのは、緑の多さと、日本にここだけしかない、ここにしかない価値でしょうか。不安もありましたが、『どんな生活になるんだろう?』という冒険心が勝りました」

Q. Yさんご自身は、プライバシーが気になりませんか?

「気にならないです。家の中にいるときに、目が合ってしまうということはまずないです。建てるときに、プライバシーに配慮するための窓のルールがあったので」

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▲サトヤマヴィレッジの「窓のルール」。家の南側や東側は自由に開口部を設置できる代わりに、北側や西側の開口は配慮するルールを設けることで、プライバシーが確保できるようにしています。

 

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▲Y邸ももちろん、「窓のルール」に則りメイン開口は大きくつくり、隣家がある面の開口は上部に配しています。

 

Q. 冒頭で、「塀がないのがいい」、というお話がありましたが、誰かが勝手に入ってきて困る、ということはないですか?

「塀などの、はっきりした境界線があると却って『うちの敷地に勝手に入ってきて』となるかもしれませんが、ないからこそ自然に、心地よい距離感が生まれるように思います。非常識なことは全くないです。窓を開けていると、仲のいい人や子ども達が訪ねてくることもありますが、ひとりでいたいときは閉めればいいわけですし」

Q. 住民の皆さん同士では、どのような交流をされているのですか?

「3年ほど前に、管理組合を結成してここを運営していく体制になったんですが、サトヤマの草むしりは毎月有志で行っています。そこで自然と会話が生まれるということもありますし、春と秋にはバーベキュー、冬には餅つき大会をやってます。今日はソフトボール大会をやっていました。最近ではハロウィーンや仮装パーティーもやっているんですよ。そういったイベントには、積極的に参加したいと思っています」

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▲Y邸のエントランス。写真右下のデザイン門柱はオリジナルで全戸に設置されており、昼は自然な風合い、夜は美しいライティングでサトヤマを彩ります。

 

Q. Yさんは管理組合の監査担当理事をなさっているとのことですが、運営上なにかお困りのことはありませんか?

「仕事の支障にならないようにやっています。もちろん無報酬ですが、やりたいと思う人が集まってやっているので、苦にはなっていないと思います。7世帯が毎月1回、どこかのお宅に集まって会議をやっています。これだけ緑が多いので、そのメンテナンスが主な議題です」

Q. 改善したいところはありませんか?

「蚊が多いのはなんとかしたいです(笑)。蚊が減ると、夏場ももっとサトヤマを楽しめると思うんですけどね」

Q. Yさんにとって、どのような家が理想の住まいでしょうか?

「ここに住み始めて、塀がないことが普通になってくると、逆に塀がある家の方が不自然な感じがするんです。リビングから見えるのは、隣の家の庭だけ、というのはもったいないと思います。今が理想に近い状態だと思います」

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▲「塀がない」からこそ楽しめるこの景観。うらやましい限りです。

 

後編では、あと2件のお宅をご紹介します。ぜひこちらよりご覧ください

 



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